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サヘル・ローズ ウクライナ支援 旅のご報告

サヘル・ローズさんより  『9月、旅のご報告』

ウクライナの方々への支援活動の様子のお手紙を頂きました。お手紙を読み、

サヘルさんの講演会を8月にボランティアの方々を始め、たくさんの方々と行え

たこと、改めて本当に良かったと感じております。

ウクライナの眼差しへ愛にいく旅の報告』

今年は2回ポーランドに行く予定でした。二つとも大好きな舞台のお仕事です。

しかし、一つはコロナがひどく、燃料高騰も重なり白紙になりました。そして今回は

演出家の方が赤字でも行こうと、私もギャランティーよりも、経験を自分でお金を出して

でも買いたい。そう決意した。作品そのものが今の世界、いや、人類が生まれてから

ずっと変わらない『差別、政治の腐敗、人間が利用され、いつの間にか加担していく

恐怖』すべてが詰まっていた。だからこそ、外国で自由に表現したかった。

そして、基本的な人生の目標として大事にしている事があります。必ず、現地で今サポート

を必要としている方々に会いにいく。ポーランドの隣国ウクライナの状況はいうまでも

ないですね。居場所を奪われ、家族を失った子どもたちのサポートや難民となってしまった

人々が逃れてきています。 何百万人を超えて。家が破壊され、命の危険を感じ隣国へ逃れ、

心が破壊された人々。 その多くがお母さんと避難してくる子どもたち。

お父さんや年上のお兄ちゃんたちの多くは戦うためにウクライナに残っています。

隣国へ逃れても残してきた家族・親戚・ペットや思い出を失っていく。

しかし、昨日まで日常があった人々。『また、明日』と友達とバイバイをしていたり、

家族に『おやすみなさい』と、でもその翌日は無くなる。平穏な鳥の鳴き声とはま逆の、

悲鳴。それが戦場と化した場所の音。

何も持ち出せないまま、オモチャも、ゲーム機も、洋服も、お部屋も、全部を残して

身を一つで逃げなければならない。命からがら逃げてきても、新しい環境での生活は

とても大変です。そして1人、2人の話ではない。 普段の私1人ではこの経済状況でできる

ことは、3組のご家族の3ヶ月分の生活費を渡すこと、これ以上は残念ながらできない。

毎月、私のサポートを待っていてくれる眼差しが異国にたくさんいます。

そんな落ち込んでいた時に母が私に、今ある数枚のペルシャ絨毯をチャリティーに出せない?

その全額を全部、支援に使って。と応援してくれた。 そして長年お世話になっている母の大事な友人、

インテリアおおたさんに相談をしました。

こんなにも信じてくださり3ヶ月以上も時間をかけて会場、チラシ、宣伝、群馬県前橋市、

街全体がウクライナの人々へ、『自分達の思いを届けて欲しい』と温かい言葉を。

8月半ばに開催された私のチャリティートークショー(講演)に多くの方々が足を運んでくださった。

本当に本当に、私1人では不可能でした。社長ご夫妻、ご家族の皆さま、インテリアおおたさんの社員

の皆さま、ボランティアの皆さま、そして、夜中まで資料作成やお礼状など、本当に書ききれない

準備をしてくださっていました。 本当にありがとう。

この日、会場にウクライナの人々に思いを託してくださって皆様。実は予想を遥かに超える思いが

集まっておりました。そこに、私とお母さん、友人達からの思いもすべて重ねて、全額そのまま

必要とされている人々に届けました。

今回は多くの思いが集まったおかげで、ポーランドだけではなく、オーストリアのウィーンとスロベニアの

3カ所を回る事にしました。実際に子どもたちの施設にいくので荷物の重さギリギリまでいろんな

玩具などを買いました。みんな嬉しそうに受け取ってくれてホッとしました。また今回、日本から持っていった

折り紙で『鶴』をみんなで作りました。ハサミも、ノリも使わない折り紙にみんな感動していました。

もちろん『鶴』は何も解決しないし、彼らの傷を癒すわけでも、親や祖国を返してあげる事もできないです。

でも『支援』に必要なのは『心』。こうして世界が忘れていく戦争や内戦は多くあります。

また、日本にいると、『あのニュースどうなった?』と思うほど入れ替わりで、視聴率がいいものを選んでいく。

人の命、戦争に視聴率なんて関係ないはずです。もちろん、今回は生活をしていくために『お金』は必要。

避難してきた人々が何もしないで生きていけるわけでもなく、働く事が必要ですが、言葉の壁があります。

そしてヨーロッパの冬はとっても寒い。マイナス10度以下は当たり前。だからこそ、2ヶ月か、3ヶ月分の

贅沢はできないけど生活をしていく分を6組のご家族と避難してきた子どもたちのケアをしている施設、

そして戦争によって親を奪われた子どもたちの孤児院へ。

日本からサポートしてくれた仲間の写真を渡して、

『日本の人々がみんなの事を考えている、忘れていないよ』と必ず伝えました。

その度に皆さん、涙を流されます。

そして必ず頭を下げて、私の手をキスする。正直、辛かったです。

私は決して『ありがとう』がほしくて活動しているわけではない。また、ある若いお母さんのお話。

8歳の息子の手を握り、こちらを金色の青い瞳で見つめてくる。お腹の中には生後7ヶ月の命がいました。

残念ながら父親の顔を見る事ができないんだと思うと悲しかった。また、癌で余命宣告されていた

父親と共に彼女は避難していた。住んでいた街は破壊され、愛する人、祖国、居場所を

奪われているのにも関わらず彼女をはじめ、出会った人々は終始、穏やかな眼差しで私を見つめる。

憎しみのカケラすらなく、慈悲の眼差し。そして優しい口調で『今、世界中の人が苦しんでる。

そんな中でもウクライナの事を思ってくれてる日本の人々に感謝を伝えたい。

私は祖国を壊されてしまったけれど、まだ生きている。この命を大事に生きていきたい。

どうか、私たちを、世界中で起きてる様々な戦争・紛争を忘れないで欲しい』と、手を握ってくれた。

でも、その手は凍えていました。生まれてくる我が子、今、育ち盛りの息子、癌に蝕まれていく父親。

彼女の華奢な体にのしかかる事があまりにも重かった。

もう一つ脳裏から離れない言葉を話させてください。天使のような笑顔。15歳の少女は、

突如の空爆で、農園を営んでいたお父さんを置いて、母親と病気の弟と姉と逃げてきた。

その時の彼女は着ていた洋服のまんま、そして大事なお父さんが買ってくれたバイオリンだけを

とっさに持って避難した。しかし、弟の病状が悪化し、母親と、弟と姉はウクライナの病院にいくため、

帰ってしまう。15歳は笑顔だった。でも、私にはわかる、心が泣いていた。それを伝えました。

『私の前では笑わなくていい、泣いていいんだよ』すると『私はポジティブな人間だから、だから私、

大丈夫。絶対に。笑う以外の事が分からない』と笑いながら泣き出してくれた。そしてすーっと私に抱きついた。

冷たい手をしてて、すぐに持っていたホッカイロを渡した。

(ホッカイロに感動してて次回は必ずホッカイロを持っていくと決めた)

そして最後に思いを渡した時、

また大粒の涙を流しながら『私はアナタをどうやって幸せにできますか?』と。

過酷な状況下にあっても、人の幸せを願う事の素晴らしさを教えてくれた。

戦争というのは、国を破壊しているだけではない。そこで生活をしていた人々の能力も未来も壊しています。

今、避難している人々は会社の社長だったり、IT関係の仕事をしていたり、自分で働けた人々。

今は頭を下げてお金を受け取らなければならない。私はすごく気をつけていた、

彼らを可哀想な眼差しでみてはいけない。 なぜなら尊厳はすべての人が持っているからです。

正直、日本で生活をしていく中で私達が肌感覚として世界情勢は感じることはとても困難だと思います。

戦争という言葉そのものが、『遠くの響き』に感じてしまいます。メディアでの取り上げ方も小さくなっていきます。

最初の頃は『戦争の終わらせ方』を議論していたが、今は『戦争がどのくらい長引くか』という議論

になってしまった。生きている人々には正直、領土や国土の大きさはどうでもいい事です。

ただ、家族と、愛する者と平穏に暮らしたい。

誰しもが思っていい素朴な権利。

アナタにお願いがります。

『いまを、大切に生きてください』そして、『忘れ去らないでください、世界を』

今回の活動は私自身も成長させてくれました。 それは社会を巻き込むことの重要性。

1人では限界がありますし、支援する人々がずっと頑張るのではなく

共存していくためには思いを共有して、互いに寄りかかり合いながら生きていく。

『何かをしたい、でも何をどうしたらいいのかがわからない』

という声を多く耳にします。でも誤解しないでくださいね、私はお金集めをしたいのではない。

でも、今回のように私が現地に行ける場合、必要としている方々に届ける場合は、

より多くの方々の思いも、ちゃんと連れて旅したいです。もちろん、それを望む方だけです。

今回も、信じてくださった皆様、本当にありがとうございました。

また、来年、彼等に会いに行きます。

実はワークショップをするんです。お芝居を教えるって約束してて、ちゃんと守りたくて。

また、チャリティーによって集まった思いの一部は、

日本で生活をされているウクライナから避難された母子家庭のご家族5組にお渡ししました。

改めて、信じてくださり、世界のために、共に動いてくださった皆様、

心から感謝を致します。これからも私の活動を続けていきます。

愛を込めて  サヘル・ローズより